手水鉢にスズメ、完璧な組み合わせではありませんか!
ここは横浜山手。
古民家を改装した千代紙の老舗「いせ辰」さんの情緒あふれる素敵なお店
洋館街を元町に向けて歩いていくと出会えます。
私の住む江東区では、戦災被害で昔から残る古民家はほとんど見かけません。
だから、現役で活躍している古民家を見るとわくわくしてきます。
かつて、大工の小松親方が区内の古民家移築にたずさわりました。
区の緑道公園に移築保存する事業で、親方はその中の「解体」を担当しました。
でも、普通の解体とは違う移築です。
煤だらけの柱梁を壊さないように、1本づつ丁寧に外して、組み立てる大工さんが分るように手板に書き、柱にマーキングしていくのは大変神経を使う手間暇のかかる作業だったようです。
そんな話を聞いていたので、てっきり「いせ辰」さんも移築だとばかり思っていました。
「本店は谷中なんですよ、オーナーのご実家がここでクリーニング店をされていたのを改装したんです」
障子を取り払った奥の4畳半で仕事をしていた、女性店員さんが教えてくれました。
「でも決してこだわりの家って訳ではなくて、材料もあるもの使いでばらばら。
雨戸の外側も使えなくなった版木を使っていますから」
12帖の土間が売り場となっていて、色とりどりの千代紙商品が並んでいます。
その奥で、ちょこんと座って黙々と仕事をしている店員さん。ようく見ると後ろの建具には目で分かるくらいの隙間があります。
開けっ広げの4畳半に小さなガスストーブで暖を取っている姿は、
まるで店員さんがお店と一体化しているようです。
決して無愛想ではなく、こちらから声をかけると興味深い話をしてくれます。まさに「おもてなし」だと、感動しました。
私もこんな「おもてなし」を提供したいなぁ、と感じた休日でした。