こんにちは!
自然素材・輸入壁紙を使った「住宅リフォームブログ」を運営している
東京都江東区のエーゼン大塚建設 代表の大塚健太郎です。
いま築40年の鉄骨造住宅のスケルトンリフォームをしているのですが
S造の耐震補強・構造補強についてご紹介いたします。
S造の耐震調査はとんでもなく高い!
中古の鉄骨造住宅購入を考えている人にはショッキングな事かもしれませんね。
木造に比べるとS造の耐震調査はコストが高いんです。
木造であれば
自治体の安価な耐震診断があって
その後の耐震設計&耐震補強も
助成金が出やすい仕組みが出来上がっています。
国土交通省が旗振りしている「空家対策」でも
優良な中古住宅にお墨付きを与えようとしています。
今年の4月から中古住宅の売買で
ホームインスペクションの告知が義務付けられたのもその一環
オールジャパンで木造空家を有効利用・再利用しようとしています。
ですから木造は耐震調査もリーズナブル
5万~10万円ほどで調査を受けられます。
でも鉄骨造の耐震調査となると
200万円も掛かる上
自治体の補助金も受けにくい状態です。
(コンクリートの共同住宅であれば1件当たりの負担が少ないのでマンション全体で耐震改修を受けやすいです)
では何故S造の耐震診断は高いんでしょう?
それは耐震調査のスキームが木造と全然違うからです。
木造であれば最初の一般診断は外観目視で調査OKです(非破壊)
その後の精密診断で床下に潜ったり
天井裏を覗いてみたり
壁を壊してみたり(破壊調査)します。
構造体である柱梁が腐っていたり、金物に異常がなければ構造的に評価できる
と言う考え方なんです。
そんな木造に対して鉄骨造は最初から疑ってかかります。
図面通りのメンバー(鉄骨の大きさ厚さ)が使われているか破壊調査し
溶接が適正かどうか
超音波探傷検査までします。
これでは費用が掛かりますよね
その上で初めて耐震設計をして耐震補強工事をするのですから
時間もコストも相当な負担となります。
こんなことを書くとS造住宅購入を考えていた人ががっかりしてしまうかもしれませんね。
ごめんなさい、そんなつもりのブログではないんです。
ではいよいよ本題、
オーツカがそうしたS造住宅のリフォームでどう耐震補強しているのかご案内いたします。
鉄骨造は仕口が肝心!
仕口とは柱梁の溶接部やボルトで固定する接合部をいいます。
この仕口で溶接不良があったり
ボルトの本数が足りなかったりすると
構造計算した強度が得られなくなります。
阪神淡路大震災で倒壊した鉄骨ビルでも
仕口部分に施工不良があったことが報告されています。
さて、上の写真はオーツカがリフォームしている物件です。
長年の雨漏れでボルトが腐食しています。
これは良くない状況です
急遽鉄骨工を呼んでボルトの入れ替えをすることにしました。
腐食ボルトをガスで切断
周囲を耐火シートで被い
鉄骨母材を傷めないように丁寧にボルトだけを切断していきます。
スケルトンリフォームの最中で
周囲に可燃物がないからこそ可能な作業です。
新しいハイテンションボルトを締め付け
ウェブ(鉄骨の縦の部材)と下フランジ(鉄骨の横の部材)に新しいハイテンボルトを締め付けます。
本当は上フランジ側も取り換えたいのですが
上側はデッキプレートが乗っているためボルトの入れ替えが出来ないんですね。
ですがその点は事前にお施主様に相談済みです
「大塚さんに任せてあるので、出来る限りの範囲で補強をしてください」
ありがとうございます。
実際この現場では他にも土台との緊結補強や
張り出し梁の方杖補強
水平ブレースの追加補強をしています。
「本来なら上フランジも交換しなけりゃ駄目だろ!」
という厳しい意見もあるでしょう。
それを甘んじて受けた上で
オーツカはこう考えます
「100%を目指して何もできないより、今出来る構造補強をするほうがいい」
Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏も言っていますね
「 Done is better than perfect 」
200万円を掛けて耐震調査をし
さらに物理的に出来もしない耐震設計に150万円払うのと
リフォームの工事中に発見した不具合を
可能な範囲で構造補強するのに30万円払うのと
あなたならどちらを選びますか?
耐震補強は出来る事から始めることがお勧めです!
S造住宅を購入しリフォームを考えている方は
エーゼン大塚建設でご相談いただけます。
お近くの方は永代ショールームまでお越しください