こんにちは!
自然素材・輸入壁紙を使った「住宅リフォームブログ」を運営している
東京都江東区のエーゼン大塚建設の代表 贅沢リフォームの匠、大塚健太郎です
「制限があるから頭を使うのよ」
僕ら作り手がいつも現場で悩むこと、それは
「天井を高くしたいけど、あの配管どうにかならないかな~」
「オープンルームスタイルは開放感あって素敵だけど、スイッチやコンセントをどこに付ける~?」
「このR天井だと、トイレのドアがぶつかっちゃうよな~」
そんな納まりについて、いつも悩んでいます。
お客様の希望は叶えたいし
でもプロとして使い勝手のいい形、大きさ、配置を提案したい。
木造であれば、いろんな融通が利くけれど
コンクリートで囲われたマンションでは制限が沢山あって、思うようにいきません。
そんな時に施主のFさんが言われました
「制限があるからみんな必死に頭を使うでしょう。
だから、いいものが出来るのよ」
なるほど~、制限を逆手に取る発想ですね~
Fさんのご要望は暗くて天井の低い廊下を素敵にしたい!という事
そこで、まずは天井裏に流れていた設備配管のルートを変更しました。
これで5センチ天井を上げられます。
でもそれだけでは構造屋さんの発想。
天井は高くなるけど、全然素敵じゃあない・・・
そんな時、リビングの漆喰壁の色見本作りで来ていた左官の茂木さんがFさんに
「廊下の天井もRにしちゃいます?」
「あらっ、修道院みたいで素敵ね」
「白漆喰で仕上げて、ブラケット灯で照らしたらいいですよね」
様式美の話題で盛り上がって居たと思ったら、いつの間にかそんな話しになっていました。
ちょっと、ちょっと茂木さん
工期が決まってるのに仕事増やしてどうするの?
「大丈夫だよ、大塚さん。網入れてモルタルで下地から全部作れるから」
ですよね、茂木さんなら出来るよね。
もちろん知ってますよ。
でもね、今日の色見本作りでドンドン左官仕上げの範囲増えたじゃない。
ただでさえいそがしい茂木さんが、そんなに沢山抱えられないでしょ・・・
どう考えたって、時間的に無理!
「いや~、時間さえもらえれば何だってやるよぉ」
茂木さん、わざと言ってるでしょ、わざと!
でも、仕方がない。お客さんが喜ぶ事だから・・・
チーム大塚のいいところは
みんなが屈託なく意見を言い合える事だからね
そうやって、知恵を出し会う事で素敵な部屋にマッシュアップ出来るんだよね。
という訳で、廊下の天井はR天井になりました。
さっそくイメージに近い曲線をFさんにプラダンに書いてもらいました。
何度も鉛筆で下書きをして
ようやく納得できるカーブを見つけ、マジックで筆入れしています。
次にそれを廊下に合わせて高さの感じを見てもらいます。
作り手としては、出来るだけ高い位置に配置するんだろうなと思っていました。
でもFさんは
「丁度うす暗い感じじゃない。トンネルを抜けるようなR感を出したいからむしろ低い方がいいわね」
確かに、低い位置に下げるとR感が効いてきます。
良いですね~
これで決まったかに見えますが、
翌日このRを作り直すことになりました。
廊下に置く本棚のサイドが丸見えになるのは素敵じゃない!
という事で、Rの左側に袖壁を作ることに・・・
もちろんRのカーブも変わります。
そのままのRではトイレの片開き扉がぶつかってしまうので
Rの下がり壁をくぐったら、4分の1Rにデザインを変えて対応することにしました。
ただ、もうひとつ問題が残ります。
R壁を下げたために、正面の引き戸枠にRがかぶってきてしまうんです。
これだとデザイン的にかっこ悪いばかりか、
引き戸を入れる事が出来ません。
R天井の位置を上げれば解決するのですが
それではFさんの満足が得られません。
残る方法はもうひとつあるけれど、それは作るのが大変な納まりで
出来上がりのクオリティがどんなものになるのか想像が出来ません・・・
「大塚さん、こうなったら奥の引き戸に向けてRの終わりを斜めに結んじゃいましょう」
あぁ~、やっぱりそこに気が付いちゃいましたね~
現場泣かせの納まり。
ただのRなら2次元だけど、斜めにひねりが加わった3次元R
どうしよう、曲げベニヤだと2次元しか曲がらないし
ましてこんなRがキツイとそもそも駄目かも。
ベニヤがささくれると、将来天井の漆喰にひびが入るかもしれないし・・・
「大塚さん、FGボードをビシャビシャに濡らすと曲げられるよ」
おお~、茂木さんナイスアドバイス!
「ま、時間さえくれれば下地からモルタルでやるんだけどねぇ~」
茂木さん、いつか仕返ししてやる~
という訳で、この3次元Rの天井下地は自分でこしらえる事にしました。
えっ?大工さんにやってもらえばですって?
寸法の指示が出来ないものをどうやって人に丸投げ出来ますでしょうか。
でもね、親方の小林さんは優しい人なので
ヒイヒイ言ってる僕を暖かく見守ってくれます。
親方が見てくれているだけで、なんとなく自分でも出来そうな気がしてくるのが不思議です。
Fさんも下地作りを手伝ってくれました。
桟木の通りを1本1本糸を張って調整していく根気のいる作業ですが
ふたり掛かりのおかげでなんとかクリアできました。
そればかりか、裁縫をされるFさんは得意の型紙作りを活かして
夜のうちに、天井の型取りをして、大きな紙を貼り合わせた型紙を用意してくれていたんです。
これには感動しました。
ここまでやっていただいたのなら
きれいな天井を作らない訳には行きません!
途中親方にも手伝ってもらいながら
ようやく天井の下地が完成しました
工事用の照明が付いているところに、ブラケット灯が付く予定です。
これに漆喰が塗られて仕上がると、すごく素敵な廊下になりますね。
狭くて低い廊下を逆手に取ったデザインです。
制限があるからこそ、個性的になるんですね。
こんな風に、現場で職人たちと話し合いながら部屋作りを進めるって贅沢なリフォームですよね。
贅沢リフォームの匠 大塚健太郎でした。
贅沢なマンションリフォームをお考えの方は
エーゼン大塚建設でご相談いただけます。
お近くの方は永代ショールームまでお越しください。