親世帯が住む1階の増築プランは、「そこで生活が完結できる空間」というコンセプトでした。
もともと1階にはトイレ・洗面・浴室があります。2階のキッチンを息子世帯に明け渡すに当たり、コンパクトキッチンと洗濯機置き場を設けたDKスペースを増築することにしました。
施工中
まずは3階、子供部屋だった2室をつなげて1Rに
息子さん達が昔使っていた子供部屋の壁を抜いて一部屋にします。隠ぺい配管の処理が困難だったエアコンもこの機会に撤去。作り付けの机や本棚も取り外しました。
リビングと寝室に区切れるように引き込みの2枚扉を付けます。
断熱改修を提案
追加工事にはなりましたが、岡野様にご提案して天井裏にハンディーフォーム(発砲ウレタン)を吹付て、グラスウール断熱材を敷き込みました。
間仕切り壁を解体した時分ったのですが、天井裏はスラブ下のデッキが丸見えでした。
夏は屋上のコンクリートがじりじり焼かれ、その熱が3階に降ってきます。
冬は3階で暖房した熱がデッキから屋上にどんどん逃げていきます。
そんな過酷な状態です。
「このままでは冬場に天井裏で結露が発生するリスクもあります」と左の参考写真と共にアドバイスすると、岡野様は「お任せしますので、断熱改修してください」と即ご了解くださいました。
この決断の速さのおかげで、追加の断熱改修工事も工期が延びることなく進める事が出来ました。
1階増築部分の思わぬ障害
増築部分については2階バルコニーの庇下に設けるために建ぺい率には影響しません。延べ床面積も余裕があったので容積率も基準法の範囲に納められました。
ただ、思い掛けない障害が現れました。
エアコンの室外機です。
一度撤去してしまえば工事は楽なのですが、なにせ生活しながらのリフォームです。冬の寒い中エアコンなしにはいられません。そこで着工前にエアコン業者を呼んで移動できる一台は移動し、動かせない一台は固定バンドを外し大工さんで左右に移動できるように準備しました。
そうは言っても内装下地が出来上がるまで(写真右上)何度も移動しながらの作業は並大抵ではなかったと思います。親方ありがとう~!
年内に基礎と外壁を作る
本体がS造なのと、構造的に独立している増築部分です。そこの基礎はコストと工期に貢献できる重量ブロックの基礎としました。もともとが車庫の土間で150㎜のコンクリート造ですから新築住宅のベタ基礎と遜色ありません。
そうした簡易な増築にも関わらず。いい仕口を加工してくれた大工の小林親方には感謝です!
大塚さん、手を抜かないねぇ~
南に向いている増築部分なので夏は相当熱いだろうなぁ…という思いから、簡易な増築ですがしっかり通気工法の下地をこしらえました。
するとモルタルを塗りに来た茂木さんが
「大塚さん、ちゃんとしてるよね~。他じゃこの位の増築は通気なんて取ってないよ」
えっ?そうなの?
でも出来る事はやっておきたいですものね~
年明け、いよいよ内部工事へ突入
既存のアルミサッシを残しながら床下地をこしらえ、設備配管を進めていきます。
いままでバルコニーの下だった所を居室にするのですから断熱対策は欠かせません。3階で使ったハンディーフォームを使って断熱材を吹き付けていきます。使いきりのハンディーフォームは長くは保存できないので、余った分は壁面にも吹いてしまいました。
工事もいよいよ終盤、既存のアルミサッシを撤去し、無垢フローリングを貼っていきます。
既存の洋室は合板フロアを貼ってありましたので、統一感を考えると増築部分も合板フロアを選択するのが正解かも知れません。ですがここでこれから生まれるお孫さんの事が頭をよぎりました。
快適な無垢フローリングの床とウッドデッキのバルコニーがあったら、お孫さんが喜んで1階で遊ぶのではないかと。
「爺じ、婆ばのところで遊んでくる~」
なんて場面、想像しただけで嬉しくなります。
外装の仕上げはウッドデッキと庇。
外部に安心して使えるウェスタンレッドシダーをベースに、デッキ本体は寸法安定性に優れ、体感温度がひと肌に近い
サーモウッドを使用しています。
狭いバルコニーですが洗濯物を干すため、庇を設けました。ここでは既製品寸法で隣地に越境しない物を探して取り付けました。
担当より
2世帯化リフォームっていいなぁ~!
ご近所の挨拶回りの時にそう思いました。
普通ご近所への挨拶回りって「工事でご迷惑をかけて申し訳ない」という控えめなものなのですが、今回は違いました。
「この度息子夫婦と同居する事になりまして、そのためにチョット家を綺麗にしようかと思っています」
岡野様がそう言うと、ご近所の方は
「そりゃあ良かった。あの〇〇ちゃんがねぇ」
と歓迎ムードで、一緒に回っている私まで嬉しくなりました。
そんな2世帯化リフォームは親世帯と息子世帯のお施主様がふたりいるような工事でした。
特にまだ地方でお仕事をされていた息子さん夫婦とはお会いできる機会も限られていたのでメールのやりとりを通じて内装の色きめなどを進めていきました。
左の写真はクロスを選んでいるコーディネーターのマサコさん。
「青い色が好き」
と言う息子さんご夫婦のご要望ですが、青と言ってもさまざま。ブルーグレー系からピーコックグリーンまで幅広い上にテクスチャーまで含めると数十種類に及びます。
取り寄せていた90センチ幅の大きなサンプルでイメージが伝わったのでしょうか、「ピーコックグリーンは好きです」とご意見を伺えました。決断が速いのはお父様と同じですね。おかげで素敵な壁が出来上がりました。
今回私達にとっても良い経験が出来ました、それは床材です。
既存の洋室はそれまでの合板フロアのまま、増築部分は北欧パインの無垢フローリングを使いました。無垢材の「温かさ」や「足ざわりの良さ」は日頃から感じていましたが、直接比較するチャンスは今まで無かったんです。
年明けすぐの工事でそれは実感できました。
増築部分を仕上げるために既存の合板フロアの上で作業していると靴下の上から寒さが伝わり、指先がしびれていきました。それが作業場を北欧パインの床に移すとその違いにビックリしました。最初の一歩こそ冷たく感じますが、じわじわ自分の体温が足元から戻ってくるのがわかります。
「あぁ、無垢材の暖かさってこれなんだな~」
と感じられた瞬間でした。
あまりに良い床材なので余り材を捨てるのは忍びなく、書斎コーナーのデスク天板にリデュースしました。デスクの上は一般の家具が納まるように45㎝を確保しておきました。すると奥様がWEBで購入した吊戸収納がコーディネートバッチリ!まるで最初から選んだような書斎コーナーになりました。
あれから半年・・・
2世帯化リフォームが完了した新しい実家では娘さんが初孫を連れて静養されました。
それと入れ替わりに息子さん夫婦が生まれたばかりの長男さんを連れ戻ってこられました。
わずかな間に子供たちを迎えるためにリフォームをし、息子さん夫婦との同居を果たし、そして二人の孫に恵まれる。素晴らしい事です!そんな幸せな家つくりに携われたのは私にとって掛け替えのない喜びです!そんな機会を与えていただいて心から感謝いたします。
岡野様ご家族、これからも幸せな生活が続く事は間違いありません!
【お客様さまからのご感想】
2世帯リフォーム工事をする為、山梨県に住んでいる息子夫婦と連絡を取り合い打合せをしました。我が家は3階建てで築20年たちますが大塚工務店さんに建てていただき、その後も色々とエーゼン大塚建設に頼んでいました。ですから今回の2世帯リフォームもすぐに相談して詳細に打ち合わせをしました。大塚社長との信頼関係と人間性が気にいっていたので他社の相見積もりは取りませんでした。
このリフォームで1階を増築しキッチンを作り、私達夫婦は初めて1階(それまでは2階)で生活をし2週間が経ちました。
新鮮で快適に過ごしています。特にウッドデッキを気に入っております。エーゼン大塚建設さんにリフォーム工事を依頼して正解でした。
江東区 岡野英二
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