賢い水のトラブル対処法の続きです。
	 
	「トイレが詰まっている!」というご相談を受けて、電話口で状況を聞き、応急処置のアドバイスをするまでが前回のブログでした。
	 
	そして今日、
	「奥さん、昨日の業者の応急処置はどうでしたか?うまくいきましたか?
	えっ?断ったんですか。確かに以前よその業者から大工事になると脅されたとおっしゃっていましたからねぇ。
	不安になる気持ちもわかります・・・」
	そう電話で話した後、お宅に訪問しました。
	 
	「では、順番に見せていただきます。
	まず、1階のトイレからお願いします」
	
	実際にトイレを流してもらうと、水がみるみる溜まってきて今にもあふれそうです。
	 
	「お風呂の水を抜くと、トイレでボコボコ音がするんです・・・」
	
	「じゃあ、お風呂の水も抜いてください」
	 
	しばらくは問題なく水が抜けていましたが、半分位になったとき
	「ボコッ、ボコッ」
	っと、音がして便器の水に空気の泡が上がってきます。
	こんなのは私も見たことがありません。
	
	「2階のトイレはいかがですか?」
	
	2階に上がると、1階と同じように、「ボコッ、ボコッ」と泡が出ています。
	泡が消えてから流すと、同じようにあふれそうになります。
	窓から下を覗くと、トイレの配管が外壁に伝っていました。
	特に通気管は無いようです。
	 
	「キッチンはいかがですか?」
	
	「流しは問題なく流れるんです」
	
	う?ん、なるほど。建物の配管図面は無いけれど、どうやらキッチンの排水の方が水下という訳ですね。
	
	腕を組んで家の配管ルートを推理している私を、奥さんは不思議そうな顔で見ています。
	確かに、様子を見てばかりで、ラバーカップ(すっぽん)を手に取ろうともしないのですから仕方ありません。
	
	「次は外を見ますね」
	トイレのすぐ外の桝は期待に反して雨水桝でした。
	
	いったい、排水はどこへ?
	一方で反対側に位置するキッチンの外には桝がふたつ
	 
	「ええ、そうなんです。うちは家の下を排水管が横断しているみたいです。
	以前飛び込みの業者に『このままでは配管が詰まった時に大変なことになりますよ!』と脅されたことがあります」
	
	なるほど、そうですか。でも、配管が横断していること自体は大した問題ではありません。
	もう一つ気になる、地盤面(駐車場)にある最終桝のふたを開けてみました。
	
	幸いなことにこちらは何の問題もなさそうです。
	
	すると、いよいよ問題はトイレとキッチンの間という事になります。
	キッチンの外側の排水桝を覗いてみました。
	
	
	なんと!
	桝の中に木の根がはびこり、キッチンの排水から上流を完全にふさいでいました。
	
	試しに上流側の桝のふたを開けると、淵まで汚水が溜まっています。
	(とても写真はアップできません・・・)
	これでトイレのボコボコ音の理由がわかりました。
	お風呂の水を抜いてしばらくすると、排水管の中がふさがり、行き場を失った空気が便器に逆流していたのです。
	
	こんな状況を悪質な業者が見たら大喜びでしょう
	「奥さん、これは大変だ、応急処置だけでも高圧洗浄車が必要です。
	その後は土間を掘って配管の遣り替え、リビングの床も壊さないと直りませんよ!」
	
	
	でも、ちゃんと知識を持った良心的な業者が対応すれば、大事にならずに修理が可能です。
	根気よく、丁寧に詰まりを取っていくのが遠回りに見えて一番確実な方法。
	 
	1、まず、バケツの水をキッチン外の桝に流して下流の流れを確認
	    (駐車場までスムーズに流れていきました)
	
	2、次に熊手を使って排水升内部の根っこを取り除いていきます。
	    (根を取るたびに、上流側から詰まっていた排水が流れてきます。この時、急に流れると下流側で詰まってしまうので、流しの水を出しっぱなしにしておくのがポイント)
	3、竹竿のようにしなるHIVP管を配管の中に出し入れして清掃。上流の排水桝の詰まりが減ってきたのを確認しながら、掃除とバケツの散水を繰り返します。
	
	4、配管の詰まりがなくなってから、お風呂の水を流し、OKならトイレの水を流します。
	
	以上の作業は1時間ほどで完了。
	到着してから2時間たっていました。
	 
	
	
	水のトラブルの賢い対処法は、『脅されても慌てないこと』
	落ち着いて、「うちの出入りの工務店(リフォーム屋)さんに相談してみますね」
	と告げれば大丈夫。
	仮に出入りの工務店がいなくてもゆっくり探しましょう。
	
	今すぐ何とかしなければならないのは、火事の時くらいですから。